伝説の「あうー」
遂に殿が「あうー」を成功させたのである。
「あうー」は誰しもが通る道である。(そうなのか?)
泣き声に続いて会得する発声であるが、言葉ではない。「ママ」の前に「あうー」がある。「あうー」は万物の根元なのである。これまで泣き声ばかりを聞いてきた親にとって「あうー」は癒しの音なのである。
殿はそれなりに見えるようになってきたのか、殿の「あうー」に画伯が「あうー」で返すと、必死に口の形を作って発声しようとする。
画伯が何度も何度も、「あうー」を繰り返すことで、殿は「あうー」の口を作るのであるが
何故か発声されるのは「あうー」ではなく「ひょ…コォー…」という言葉にならない声…。まだまだ道は長い。
ちなみに妻が「あうー」ラリーを成功させると
画伯も便乗して必死で「あうー」ラリーを成功させようと試みるのであるが
もちろんそういう時に限って言わない。もはや誰の「あうー」の練習か分からないくらい「あうー」を連発する画伯なのであった。
(おしまい)
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