殿
2019年12月24日に華々しく誕生した「たくみ君」。画伯は「たくみ殿」と呼び溺愛している。
殿は画伯家初の男児である。肩書きは長男だが四人目の子供であり、序列は最も下だ。
産まれてもうすぐ1ヶ月。ミルクをゴクゴク飲んで健康に育っている。顔も随分とふっくらしてきたので安心して見ていられるようになった。
そして喧嘩ばかりの双子にキレがちな画伯も、殿には優しい父親の顔を見せるのである…。
しかし赤ちゃんなので、お腹が空くとき、寂しいときは苦悶の表情で泣く。
泣くのであるが、怪物達が放つ咆哮にかき消されて画伯の脳には届かない。
怪物達は幼稚園で「元気にお話ししましょう」と教育されているのだが、幼稚園の事情を家庭に持ち込まないで欲しいのである…。
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しかし泣き方がピークに達し、泣き声にビブラートがかかってくると
さすがに画伯の脳が泣き声を検知し、心配になって抱っこする。
抱っこすると泣き止む。そして「コォォォォ」という顔をするのである。（実際に言っているわけではない）
置くと泣く。
抱っこすると「コォォォォ」。
この繰り返しである。かといってミルクの周期を短くしたり、抱っこし続けて抱っこ癖が付いたりすると厄介なので、戦略的放置もしばしばなのであった。
（おしまい）
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